小川山(フリークライミング)
小川山(フリークライミング)
日程 2021年10月30日、11月20、21日
山域 奥秩父
メンバー 会員1名、会員外2名
岐阜ケルン山岳会、大垣労山、豊川山岳会の混成メンバーで延べ3日間登った記録です。
10月30日
特に希望のない私に対し、大垣のIさんは屋根岩2峰の「蜘蛛の糸」、豊川のYさんは親指岩の「クレイジージャム」を狙っており、スタートからモチベーションの差がすごい。
とは言え、めっちゃ寒い朝。
まずは日当たりのいいエリア、八幡沢左岸スラブへ。
ここで、Iさんの宿題であったジャーマンスープレックスをやることに。
1本目から5.10cのスラブ…
私にとってはハード。
Iさんがトップバッター。
温まっていない体は動きが硬く、序盤でフォール。
とりあえず最後のクイックドローまでかけてもらう。
据え膳の状態でフラッシュトライをむかえた私。
おおよそのルート取りと核心部がわかったので、苦戦したものの無事フラッシュ。
いい流れだった。
その後の便でIさんもRP。
Yさんもムーブを作ってRP。
第1便をフラッシュできた私は、過去に触っておそらく完登していないブラック&ホワイト(5.10b)を登ることに。
下から見るに2ピン目がやたらに遠い。
途中のフレークに#0.3をとる計画で、トライ。
無事、1便目で片付く。
登ると2ピン目が遠い理由がよくわかる。
2便目でしっかりRPのIさん。
調子に乗って私は、上記2ルートの間にあるアルピニスト5.12bへ。
写真位置まで進めたが、この先に全く進めず。
手強すぎ。
体も温まったところで、Yさんメインディッシュの「クレイジージャム」(5.10d)へ。
岩場についたら、初見だということでトップバッターは私。
ここは日が当たらず、やたら寒い。
せっかくのオンサイトトライだったが、下部のフィンガーセクションすら越えられずにフォール。
心の折れた私はテン山で、時間をかけてようやくトップアウト。
終盤のワイドセクションは何とか力技で登ったのみで、全くつながる可能性を感じなかった。
次はIさんが登る。
すでにRP済のIさんだったが、私の弱い登りが伝染。まさかのテン山に。
私とIさんのトライで、膨大な時間が過ぎ、辺りは夕焼け模様。
1年越しのRPがかかったYさんのトライはできず。
Iさんのかけたトップロープで、Yさんはムーブの確認。
見事にノーテンで抜けた。
ワイド部分の足使いがかなり参考になった。
キャンプ場に戻ると真っ暗だったが、時間は17時台。
健康的な時間に夕食を終え、翌日に備える。
しかし、翌日は朝から雨。
ワイド部分のムーブを試したいなぁぐらいの私はあきらめがつくが、Yさんはかなり悔しそうだった。
雨のやむのを少し待ったが、状況は悪くなる一方。
3人で予定の合う日を確認し、3週間後にリベンジを果たそうということで解散。
消化不良な2日目となった。
11月20日
3週間前のリベンジを果たす時が来た。
幸いにも温かくはないが、前回と変わらないぐらいの気温だった。
それでもアップは日当たりのよい、それでいてクレイジージャムの近くの課題にしようということで親指岩へ。
親指岩にほど近い小指岩は日が当たり、温和な雰囲気だ。
これまたアップにしてはつらい5.10cの五月の雪。
私以外は登ったことがあるそうなので、最初にトライ。
無事にオンサイトを決めることが出来て一安心。
余裕はなかったけど、体は暖まった。
私以外はアップに小川山レイバック1P目(5.9+)。
Yさんは体が重いと言っていたが、余裕そうだった。
Iさんはかなり余裕そうだった。
ここは暖かくてよい場所だった。
そして同岩の裏側へ。
ウォーミングアップをした順に登る感じなので、私から。
テン山だった前回を、1~2テンにできればと、気負いは全くなかった。
下部のセクションはムーブを覚えていたこともあり、手早く突破。
中間部も、プロテクションをとりすぎることなく、いいペースで上部ワイド部分へ。
懸案のワイド部分であったが、前回のYさんの足使いを見様見真似でやったら、奇跡的にうまくいき…
奇跡的にもワイド部分を突破。
予想外の大健闘であると同時に、もう落ちられない。
腕のパンプに苦しみながら、RPを達成。
3週間前、1便目テン山だったこのルートが、2便目のこの日、RPになるとは誰も予想していなかった。
私自身のクラックグレードが5.10cから5.10dに。
非常にうれしかった。
つづく、Yさん。
1年越しのRPがかかっていた。
惜しいことに、私はビレイをし、カメラを回せなかったのだが、結果はRP成功である。
2人連続でRP。こんなに素晴らしいことはない。
Yさん、おめでとう!!
最後はIさん。
再RPと、最もモチベーション的には高くなれないが、申し訳ないぐらいのプレッシャーだ。
最後まで危なげなし。
慎重な確実な登りで、再RPを果たし、3週間前の雪辱を果たせた。
この山行の第1目標(私にとっては目標以上)を果たせたので、この寒い地を離れて、日当たりよさそうな兄岩へ。
特に理由もなく「北条カンテ」5.10bに取り付くのだが、これがなかなかに難しい。
1便目は、失敗するとグランドしそうな2ピン目のクリップに苦戦。
試行錯誤の結果、カンテ左側のホールドを使わないと2ピン目のクリップが出来ないと判断。
その後のムーブとホールドをばらし、2便目でRP。
カンテから右側だけのホールドに制限した場合、5.10台ではなくなる気がした。
Yさんは「もみじ」5.10a。
見事にOSを決めました。
日がかげると急激に気温が落ちだした。
帰り支度を開始し、ぎりぎりヘッデン使わずに下山。
Yさんと健闘をたたえあう。
そんな中、Iさんは1人、すでに「蜘蛛の糸」を見据えていた。
11月21日
体が重い朝。
すでに目標を達成した私のモチベーションは低い。
そして気温も低く、地面には霜。
だが、Iさんのモチベーションは高い。
行き先は迷うまでもなく、まずは「蜘蛛の糸」ということに。
2か月前、同ルートの限定なしルートの「枯れ木を落としたよ!」をオンサイトトライした私は、ボルトセクションより上に進めず、トップロープにしてテン山でやっとトップアウトした記憶が蘇った。
「枯れ木を落としたよ!」挑戦2回目のこの日、少しでもムーブをつなげられたらラッキーではないかと思い、気持ちを切り替えた。
「蜘蛛の糸」へ向かうアプローチ
そしていよいよ「蜘蛛の糸(枯れ木を落としたよ!)」である。
私とIさんはすでに初見ではないので、1番手はYさんである。
ボルトセクションまで進むもここでフォール。
ここから上をIさんが、エイド混じりでつなげ、トップロープを張った。
張られたトップロープでムーブを作りこもうかと思ったが、1便目くらいリードしないと、このルートをリードすることはないと思い、一応トライすることに。
最悪、リードでトップアウトが厳しくても、垂れているトップロープで降りられる。気楽なトライである。
目標はもちろん「蜘蛛の糸(5.11c)」ではなく、「枯れ木を落としたよ(5.11a)」である。
ピンクのマイザイルを結んで、出陣
ボルト上のレイバックセクションは体を右から左に倒すところがつらかった。
2本のダイクのバンド間は2か月前、フィンガーが決まらずトップロープでさえテン山だったセクション。
この日、フクベボルダーでフィンガー課題を練習したかいもあり、問題なく突破。
バンドの上に到達。
連日の予想を上回るパフォーマンス。
RPが頭をよぎる。そしてここではもう落ちられないプレッシャー。パンプと疲労感。
そのまま、RPできてしまった。
連日のクラックグレード更新である。
朝の低いモチベーションが申し訳ない。
YさんとIさんは、トップロープで蜘蛛の糸のムーブを確認。
Yさんは2本バンドまではノーテンで上がり、蜘蛛の糸のセクションもトップアウトしてしまった。
私の1回目の挑戦よりだいぶと好感触だ。
IさんはRPこそならなかったものの、蜘蛛の糸をトップロープにてノーテンで突破。
3人それぞれに収穫を得て、地上へ降り立つ。
最後にコグレ大サーカス(5.10c)で遊ぶ。
最後のコグレ大サーカスは、3人とも完登し終了。
今シーズンの小川山クライミングを気持ちよく締められました。
次の春来た時に、新たな課題に取り組めるようにしばらく修行です。